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札幌債務整理相談室HOME > 自己破産とは > 自己破産で没収されない財産とは
更新日:2024/06/20
自己破産をすれば、財産をすべて手放さなければならないと思われがちですが、 実は手元に残せる財産が結構ある ことをご存じでしょうか。
また、自己破産についてネットで調べたことがある方は、自己破産しても残せる財産「自由財産」という言葉を目にした方もいらっしゃるのではないでしょうか。
自己破産しても没収されない自由財産って何だ??と疑問に感じている方のために、 自由財産について詳しく解説していきます。
目次
自己破産では、破産管財人が破産者の財産を処分(お金に換える)し、それぞれの債権者(お金を借りているところ)に応じて借金の返済に充てていきます。
不動産や車など、金銭的に価値があるものは処分の対象になるのが原則です。
ただし、自己破産後の 生活に必要な財産は「自由財産」 として、没収されずに手元に残すことができます。
自由財産は具体的に以下のようなものをいいます。
新得財産とは、自己破産手続き開始決定後に新たに得た財産のことをいいます。
破産法第34条に「破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)
は、破産財団とする。」とあるように、自己破産で処分の対象となる財産は、自己破産手続き開始時点で、破産者が所有している財産でなければならないのです。
破産財団とは、自己破産することによって処分される財産のことをいいます。
言いかえると、 自己破産手続きの開始手続きが決定したあとに得た財産は「新得財産」として、処分の対象にならない自由財産となるのです。
新得財産の一例としては以下のようなものがあります。
・自己破産手続き開始後に購入した財産
・自己破産手続き開始決定後の給与やボーナス
・自己破産手続き開始決定後に個人事業主が得た報酬
差押禁止財産とは、法律で差し押さえることができない財産のことをいいます。
差押禁止財産は自己破産をしたとしても、自由財産の扱いとなるため処分されることはありません。
それでは、具体的に差押禁止財産にはどのようなものがあるのかみていきましょう。
差押禁止動産とは、生活に欠かすことができない財産のことで、民事執行法 131 条に規定があります。
その中には、債務者等の生活に欠くことができない「衣服」「寝具」「家具」「台所用具」「畳及び建具」や、 1 ヶ月の生活に必要な「食料」及び「燃料」、標準的な世帯の 2 ヶ月の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭に関しては差し押さえてはならないとあるのです。
以下のように差し押さえされないもの、 2 点以上あると差し押さえされるものの規定もあります ( 東京地方裁判所民事執行部の例 ) 。
※差し押さえられないもの | ||
---|---|---|
洋ダンス | 和ダンス | 整理ダンス |
ベッド | 食器棚 | 食卓セット |
調理用具 | 暖房器具 | |
※2点以上あると差し押さえされるもの(1点は残せる) | ||
鏡台 | 洗濯機 | 乾燥機 |
冷蔵庫 | 電子レンジ | 瞬間湯沸かし器 |
ステレオ | テレビ | ビデオデッキ |
掃除機 | エアコン |
所持金を含めて、財産の合計査定額が 990,000 円未満の場合は差し押さえにならないこともあります。
債権とは、お金を請求できる権利のことです。
債権は財産に含まれるものですが、財産の中には「給与」が含まれていることは意外と盲点です。
ただ給与についても、民事執行法152条により「給与は手取り金額(税金・社会保険料が控除された金額)の4分の3が手元に残り(上限330,000円)、4分の1が差し押さえの対象になります。
例えば、手取り金額が400,000円の場合、4分の3である300,000円が手元に残り、100,000円は差し押さえの対象です。
しかし手取りが600,000円の場合、4分の3は450,000円になりますが、法律により上限が330,000円と定められていますので、330,000円が手元に残り、270,000円は差し押さえとなります。
前述の給与と同じように、 年金や生活保護費を受け取っている場合は、そのお金が家族の生活を支えていますので差し押さえが禁止されている債権です。
国民年金法24条では「年金受給権」といって、国民には年金を受け取る権利があるのですが、この権利は自己破産をしても保護されますので、自己破産後も年金を引き続き受け取ることができます。
ただここで知っておいてほしいのは、保護されているのは年金を受け取る「権利」のみで、自己破産前に受け取った年金は、現金・貯金と同じ扱いになるのです。
生活保護についても、生活保護法58条により生活保護費を受け取る権利は差し押さえの対象にはならず、自己破産後であっても生活保護費を受け取ることができます。
自己破産後は、手元に所持している現金であれば990,000円までは自由財産の扱いになります。
ここで気をつけていただきたいのは「手元に所持している現金」であること。
預貯金として990,000円までのお金をもっていた場合、200,000円を超えると自由財産の扱いにはならない ため、裁判所に申告しなければなりません。
前述ではさまざまな自由財産についてご紹介しましたが、自由財産以外では裁判所が「自由財産として扱うことができる」と認められた場合は自由財産として残すことが可能です。
これを「自由財産の拡張」といい、裁判所はその対象が最低限度の生活に必要なものかどうかを図りながら自由財産の拡張を認めるかを決定します。
自由財産を認める基準については各裁判所が基準を設けています。
例えば東京地方裁判所の基準は、次の 6 つのうち、 200,000 円以下のものは原則として差し押さえの対象にしていません。
■20万円以下の価値であれば没収されないもの
・預貯金
・生命保険の解約返戻金
・車
・敷金
・電話加入権
・退職金の1/8
あくまでも東京地方裁判所の基準ですので、管轄の裁判所の換価基準を確認しましょう。
差し押さえの対象となる財産でも、破産管財人が裁判所より許可を得たうえで、破産財団が財産を放棄する場合があります。
具体的には、以下のような財産が放棄されます。
・価値が低く買い手が見つけられない財産
・一般的に買い手が見つからない財産
・処分するために費用がかかりすぎる財産
・処分するために維持費がかかりすぎる財産
自己破産で自己破産者の財産が差し押さえられ、財産が処分される理由は、換金したお金を債権者に分配するためです。
換価処分するために費用がかかっていると、分配する金額が少なくなってしまうため自由財産の扱いにしています。
自由財産の拡張は裁判所に申し立てる必要がありますが、 拡張が認められるかどうかは、自己破産後の生活や経済的な立ち直りをするための財産であるかがポイント となります。
言いかえると、従来認められている自由財産では最低限度の生活ができないのであれば、自由財産の拡張が認められる可能性が上がるということです。
ただ一律の基準があるわけではありませんので、弁護士・司法書士といった専門家に依頼しながら、具体的な事情を反映してもらえるようにしましょう。
自己破産をすると、基本的に車は差し押さえの対象になりますが、「査定金額が低い車」(ローンを完済していることが条件)であれば、自己破産をしても車を手元に残しておける可能性が高いです。
東京地方裁判所の財産換価基準では「200,000円以下の車は自由財産拡張が認められる」という明記があります。
また、 査定金額が200,000円を超えていたとしても、生活や通勤においてどうしても車が必要な環境にある場合や、車を差し押さえされた後に再び車を購入できる経済力がない場合は、自由財産拡張を申し立てることで、車を残すことができるケースがあるのです。
ただ気をつけてほしいのは、車のローンが返済中の場合は、自己破産するとローン会社に車を没収されてしまいますので、自由財産拡張を申し立てることができません。
解約返戻金とは、積み立て型の保険などを解約したときに戻ってくるお金のことをいいます。
自己破産した際は、解約返戻金も財産として扱われるため、返戻金が200,000円を超える場合は差し押さえの対象になるのです。
ただ、 保険を解約することで生活に影響が出る可能性がある場合は、自由財産拡張が認められ、保険契約を続けることができます。
例えば、通院することで保険金を受け取っており、その保険金がなければ生活を続けることが困難であると判断された場合は、保険の契約が継続できるのです。
各裁判所では自由財産と認められるものに関して記載しておりますので、それについては申し立ては必要ありません。
ただ換価基準にない財産については、申し立てをしないと自由財産拡張の対象にならないのです。
自由財産拡張の申し立てを行なう場合は、弁護士・司法書士といった専門家に依頼することで手続きがスムーズに進みます。
また弁護士・司法書士に相談する中で、どうしても手放したくない財産がある場合は、任意整理や個人再生などのアドバイスも受けることも可能です。
今回は、自己破産しても没収されない自由財産についてご紹介しました。
自己破産してもすべての財産を失うわけではないことがご理解いただけたと思います。
記事でも詳細を記載しましたが、以下の財産は没収されることはありません。
・新得財産(自己破産後に得た財産)
・差し押さえが禁止されている財産
・990,000円以下の現金
・自由財産拡張が認められた財産
・破産管財人が破産財団から放棄した財産
借金問題を解決するために、自己破産は有効的な手続きであるといえますが、自由財産以上の財産を残すためには 任意整理 や 個人再生 という方法もあります。
借金問題は自分で行動するのではなく、弁護士・司法書士といった専門家に依頼・相談することで、早期に問題が解決することが可能です。
今回の記事を参考に、自由財産について知っていただき、借金問題を早期解決するために弁護士・司法書士といった専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
監修者:みどり法務事務所 札幌駅前事務所
代表司法書士鈴木 健太
札幌司法書士会所属
会員番号 第823号|認定番号 第843020号
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