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札幌債務整理相談室HOME > 債務整理とは > 慰謝料や養育費の債務整理について
更新日:2024/06/20
離婚すると慰謝料が発生するケースや、子どもがいる場合は養育費が発生するケースがあるなど、さまざまなお金の問題が出てきます。
慰謝料の金額は離婚する夫婦の事情により決定され、養育費は夫婦の経済的状況を考慮して金額が決まります。
これらのお金を支払う際に何かしらの理由で収入が減ってしまい、慰謝料や養育費を滞納することになった場合、債務整理することはできるのでしょうか。
そこで今回は、離婚の慰謝料や子どもの養育費は債務整理することはできるのかについてご紹介します。
目次
まずは離婚の際に発生する慰謝料と債務整理についてみていきましょう。
慰謝料とは、夫婦関係において相手方に非があり、精神的・肉体的苦痛を受けた際に請求することができるお金です。
離婚の理由は「性格の不一致」「相手から殴られるなどの配偶者暴力」「生活費を入れないなどの経済的暴力」「人格を否定するなどの精神的暴力」「不倫」「浮気」などがあり、このような理由の中で相手方が不当な行為をした際に慰謝料が発生します。
それだけでなく「不倫」「浮気」の場合は、不当な行為をした配偶者からだけでなく、その交際相手にも慰謝料を請求することが可能です。
結論から述べると、離婚の慰謝料は債務整理することができる可能性はあります。
ただこれは裁判所の判断によることが多いためケースバイケースといえるのです。
慰謝料が「非減免債権」「非免責債権」にあたるかの判断により、減額されるか否かが決まります。
「非減免債権」「非免責債権」とは、減免または免責の効力が及ばない債権のことをいいます。
債務整理の中でも 自己破産 は、裁判所からの免責の許可を受けて初めて、借金等の債務の支払い義務が免除されます。
しかし免責の許可決定が出たとしても、一部の債権については支払い義務が免除されないということです。
つまり非免責債権にあたるものは債務整理しても支払いを続けなければなりません。
これらの債権に当てはまるものには、以下のようなものがあります。
①悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
②故意または重過失により加えた人の生命・身体を害する不法行為
③養育者または扶養義務者として負担する費用に関する債権に基づく損害賠償請求権
離婚の原因が①に当てはまる際は、減額・免除の対象とはなりません。
例えば①のケースとして、配偶者暴力が継続された場合は、これに当てはまる可能性が高いです。
他のケースの例として、夫が不倫をした場合に、夫が妻にダメージを与えるために不倫したかどうかがポイントになりますが、実際には妻に苦しみなどのダメージを与えるものではないというケースが多いのではないでしょうか。
また①は債務整理の手続き上で判断できることではありませんので、別途訴訟を起こして確定させる必要があるのです。
このように、離婚の慰謝料は債務整理することができる可能性はありますが、実際はケースバイケースであることを知っておいてください。
もし慰謝料の債務整理をお考えの場合は、弁護士・司法書士といった専門家に相談することをおすすめします。
次に離婚の際に子どもがいる場合に養育費が発生しますが、養育費は債務整理できるかについてみていきます。
子どもがいる夫婦が離婚する場合に出てくる権利として「親権」があります。
親権とは「子どもを育てる」「教育する権利・義務」を負うもので、子どもと一緒に生活するのが通常です。
例えば、妻が親権をもった場合は、夫が妻に対して養育費を支払わなければいけません。
養育費とは、子どもを育てていくのに必要な費用を、子どもと一緒に暮らしていない親が負担するお金のことをいい、子どもが成人するまで・大学卒業まで支払いが続きます。
養育費の金額については、夫婦それぞれの収入・年収などをもとに算出されるのです。
子どもを育てるのは親の義務ですので、離婚したとしてもその責任・義務は続きます。
責任と義務を果たすためには、養育費を支払うのは当然のことです。
しかし、離婚のときに養育費の金額が決まったとしても、数年経過すると支払いができなくなってしまうことも少なくありません。
「体調を崩してしまった」「自営業で収入が減ってしまった」などの理由に加え、新型コロナウイルスなどの感染症が拡大していくことで「会社が倒産してしまった」「仕事がなくなってしまった」という状況になってしまうことで支払いができなくなる可能性も考えられます。
ただこのような状況であっても、養育費は債務整理の対象とはなりません。
つまり養育費は債務整理することはできませんので、過去に未払いがある場合は全額返済をして、今後の月々の支払いについても継続させていく必要があるのです。
前述で「非減免債権」「非免責債権」のお話しをしましたが、養育費についても非減免債権・非免責債権の扱いになりますので、債務整理の手続きの際に裁判所で免責の減額・免責の許可が下りたとしても養育費を支払わなければいけません。
ここまでの内容では、養育費は一度確定すると基本的に変更することはできないとお伝えしました。
債務整理の1つとして、裁判所を通さずに債権者と交渉する「 任意整理 」という手続きがあります。
養育費の任意整理の場合は、債権者は親権をもつ配偶者となるわけですが、その配偶者が条件を受け入れてくれれば減額は見込めますが、簡単に和解できる可能性は高くありません。
また養育費は法的に支払わなければならないという認識がありますので、任意整理の減額は期待できません。
しかし離婚後に養育費の金額を決め直すことは可能であることをご存じでしょうか?
どうしても養育費の減額が必要である場合は、任意整理とは別に親権者と話しをする機会を設けて、離婚から現在に至るまでの状況を説明したうえで、減額の理解を求める必要があります。
それでも話しがまとまらない場合は、家庭裁判所に「養育費減額調停」を申し立てることで、事情次第では今の状況に合った養育費への変更ができる可能性もあるのです。
このように養育費は減額できる可能性があることが分かりました。
養育費は離婚した夫婦間で発生するもので、債権者が金融機関でないがゆえに、養育費を支払う側が「債権者に支払いをしなくても大丈夫」という気持ちが生まれることがあります。
ただ養育費は滞納すると遅延損害金がつきますし、あまりにも支払わない期間が続くと債権者側に裁判を起こされて、家や給与の差し押さえになる可能性もあり得るのです。
養育費の支払いが厳しい場合には、自分で判断せずに弁護士・司法書士といった専門家に相談してください。
今回は、離婚の慰謝料や子どもの養育費は債務整理することはできるのかについてご紹介しました。
離婚の慰謝料は債務整理することができる可能性がありますが、あくまでも裁判所の判断によることが多いことから、ケースバイケースという認識が必要です。
それに対して養育費は債務整理することができませんが、減額できる可能性がゼロではなく、また養育費の支払い額の変更もできる可能性はあります。
慰謝料の債務整理や、養育費の減額・支払い額変更をお考えの方は、弁護士や司法書士といった専門家に相談することで早期に解決することができますので、一度相談してみてください。
今回の記事を参考に、慰謝料や養育費の債務整理について理解を深めていただければ幸いです。
監修者:みどり法務事務所 札幌駅前事務所
代表司法書士鈴木 健太
札幌司法書士会所属
会員番号 第823号|認定番号 第843020号
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